節子、それ獣人やない。人間や。

おにいちゃん、なんで獣人物なのにすぐ人間に戻ってしまうん?

 

私は獣人が大好物である。世間的にはケモナーともいうのだろうけれど、私が好きな獣人っていうのが非常に範囲が狭いのでケモナーを名乗っていいものなのかイマイチ自信がないまま今に至る。人外も勿論好きだ。仮面をつけ顔を隠している人も好きだ。FF9のクイナ、ニーアレプリカントの6号、三國無双魏延龐統など愛してやまないが、今回は獣人に限って話を進めていく。

 

FF7のXIII 、FF10のキマリ、BLEACHの狛村隊長、幼いころから数々の獣人に心を奪われてきた。誰にも理解してもらえなかった。私が中学生のころ、BLEACHは空前の大ブームだったが、うっかり「狛村隊長が一番好き♡」なんていった日には言論弾圧にあうと思い、自分の心を偽ってきた。当時人外・獣人というのは「物語にちょっとした彩を添える存在」という空気があった。彼らは、物語には重要だけれど恋愛対象にはならない。クラウドティーダ日番谷冬獅郎には適わない。世の中結局顔。顔である。私は泣いた。男性向けならまだしも、女性向けで獣人が脚光を浴びる日なんて来るんだろうか。ショタ萌えと同じくらいの熱量で獣人萌えが語られる日がくるんだろうか。そう思いつつ生きてきたが、数年前から獣人・人外というジャンルは少しずつ市民権を得てきたのか、少女漫画で人外や獣人が出てくるようになった。人外漫画で有名どころで言えば魔法使いの嫁 1巻 (ブレイドコミックス)などだろうか。ちなみに人外って大変に幅広いと思うんだけれど吸血鬼やら妖怪やらというのは個人的には好みではない。獣人も耳だけは許せない。かつて十三支演義 偃月三国伝1・2 - PS Vitaというゲームが天下のオトメイトさんから発売され、猫耳の男性が沢山出てきたのだが、まったくそそられなかった。私個人的には「人間の姿をしたものに人外/獣人要素が加わる」というのは萌えの対象にはならない。耳もしっぽも、つけるだけなら私でもできる、需要は置いておいて。逆に、ピ○サーの某動物の映画のような、喋る動物達がメインの世界というのも、微妙に萌えの対象とは違う。あくまで『人間の中に異形なものがいる』というところに意味があるのだ。

 

 

 

 

3、4年程前、Twitterで流れてきた 獣人漫画が私の目に留まった。

贄姫と獣の王 1 (花とゆめコミックス)

贄姫と獣の王 1 (花とゆめコミックス)

 

は…花とゆめ?!あのガラスの仮面の?!パタリロの?!フルーツバスケットの?!桜蘭高校ホスト部の?!あの天下の花とゆめ様から獣人漫画が出たの?!?!じ、時代が私に追い付いてきた… ありがたや…ありがたや…と思って1巻を読んだ。

 

 

すぐ人間に戻った。

 

 

 

時同じくして、また人外の漫画が話題になった。

 

花とゆめ様、空前の人外物ブーム…ドラゴンは大好物だよ…と思いつつ1巻を読んだ。 

 

蒼竜の側用人 1 (花とゆめコミックス)

蒼竜の側用人 1 (花とゆめコミックス)

 

 

 

 

 すぐ人間に戻った。

 

 

 

 

…………

 

 

何故、どうして、人間に戻ってしまうんだろう。決して展開や漫画家さんを批判したいわけではない。でもなぜその姿のまま物語が進んでいかないのだろう。

 

私が仮に漫画家だとして、獣人を愛してやまない身だとして、獣人漫画を描くとして、人間に戻そうって発想は絶対浮かばないと思う。そんな時、担当さんが言う。「獣人のままだと人気出ませんよ。呪いが解けるとイケメンに戻るようにしましょう」「いやでもちょっと待てください山田さん!獣人と人間、姿かたちの違う者同士が惹かれあう、そこにこそロマンがあるんですよ?人間戻ってしまったらただのどこにでもある普通の漫画と一緒じゃないですか!獣万歳!」「ですが絵面的に少女と獣って見栄えとして今一つだと思います。美女と野獣だって最後は魔法が解けて人間に戻るんですから」「いいえここは私の拘りとして譲れません!」「そのままじゃ絶対受けませんって。掲載順位下がったら打ち切りですよ?」

 

……仕事をとるべきか、己の萌えをとるべきか、それが問題だ。(決して漫画さんを批判しているわけではありません)

 

"なぜ獣姿はかりそめの姿であり、人間に戻るのか"というのは私達…特に女性間では上記に名前を出した『美女と野獣』という言わずも知れた古典的名作の存在が大きいと思う。あの作品は"魔女の呪いで王子が醜い獣の姿に変えられ、愛の力で元の姿に戻る"ということが描かれており、それが異形の者との恋愛におけるステレオタイプとして確立されているように感じる。勿論その根底にあるのは「大事なのは外見じゃなくて中身だよ!」という教訓めいたことなのだろうけれど、それを描くためのフォーマットとして"人ならざる者"というのは大変にわかりやすい。何せ見た目が人間ではないのだから。また、恋愛物語を描く上での障害として、獣人や異形なものというのは(それが当たり前であるという世界観では別として)受け取り側が何が問題であるかというのが明快である。私の大好きなBLEACHの狛村隊長を例にとってみても、獣人であるがゆえに人から疎まれ、顔を隠して生きてきた、というエピソードがあり、読み手は狛村隊長の苦悩や葛藤を想像しやすい。 もし仮に、同様のエピソードが日番谷冬獅郎で語られたとしても「でもお前顔が良いし美人でおっぱいの大きい部下がいんじゃん」で済んでしまう。(周囲に疎まれていた、みたいなエピソードは日番谷冬獅郎でも語られていたのであれだが)(やたらBLEACHを例に出すのはジャンプラで48巻まで無料!で再度読み直したからです)(東仙vs狛村・檜佐木戦最高過ぎない???)

BLEACH 62 (ジャンプコミックス)

BLEACH 62 (ジャンプコミックス)

  • 作者:久保 帯人
  • 発売日: 2014/03/04
  • メディア: コミック
 

つまりまだまだ獣人というのは物語の為のスパイス、恋愛成就の為のハンディキャップの一つにしか過ぎないのだ。なんたることだろう。もっと軽率に、獣人萌えを語りたい。「狛村隊長の毛でモフりたい~」とか「エリアスさん骨ばってて最高~」とか言いたい。令和も二年目、そろそろそんな時代になってもいいものだと思います。ちなみに私は獣人物を読むときそういう「人と獣、違う種族の葛藤…」とかそういうこと一切気にしないで読んでいる。ただただ獣人や人外のビジュアルが好き。それだけである。だって萌えってそういうものじゃない??

 

 

さて、そんな中、最初から最後までちゃんと獣人で恋愛していた漫画。

獣人が当たり前のように存在する世界が舞台のTL漫画。人間と獣人は塀の外と中に分かれて生活している。ひょんなことからヒロイン・花は塀の内側、獣人たちの居住区に入り込んでしまい、そこで出会った獣人サナティと恋に落ちる…という話。花ちゃんは処女のはずなのにとんでもなくエロく、コン○ームを口で開けられるほどのテクニシャンであり、読んでいるこちらが花ちゃんの通常時とのあまりのギャップに戸惑いつつも、獣人物としては完璧な漫画だった。花ちゃんは最高に良い子だしサナティさんは男前だし、エロだけでなく獣人と人間の共存という重いテーマも描かれているし、何より人間にならないし、大変お腹一杯になれる漫画でした。最後が何か尻切れとんぼというか、少年漫画で言うところの「俺たちの戦いはここからだ!」みたいなところで終わってしまったのが非常に残念だったのですが、人間に戻らなかったのでプラス百万点です。かみさまありがとう。

 

 

  ちなみにまたもやTL漫画ですが、獣人物は最近これを読んでいます。

ヒロインがわりとアホの子なんですが、お花ちゃん以来の獣人物きたーーーーーーーー!!!と思っていたら

 

 

 

人間に戻った。

 

 

 

 

もう何も信じられない…

 

ただこの漫画はヒロインが『獣人の姿の方が良かった』という思いがそこはかとなくあるみたいですのでそこに一抹の望みをかけていきたい。